桜色の涙

「俺、ずっと江崎くんは強い人なんだと思っていたんだ」



星那のように、好きだった人を忘れようと懸命に前を向く人。


小谷さんのように、自分の幸せよりも誰かの幸せを願える人。


橋本さんや矢代さん、渚のように、近くで支えてくれる人。


そして、誰も頼らずに自分の力で這い上がろうとする人。


その人達は強い人なんだと思っていた。



「でも違った。ひとりで迷いながらずっと悩んでいたんだね」


誤解していたよ。自信家で自分のことしか考えていないんだと思っていた。


でも本当は誰よりも繊細で弱かったんだ。


きっとそれは彼だけじゃない。桜のように儚く笑う……星那も同じなんだ。
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