桜色の涙
「それなら、あの子は誰なの?」
「あ、あぁ、アイツは……」
不安げな彼女に何か言いかけた江崎くんだったけど、目が泳いでいる。
その理由にはすぐに気づいた。だってその視線の先にはさっきの女の子がいたから。
「悠大くーん、どうしてあたしを置いていくのー?」
そう言って走ってくる彼女。全身を目立つ色で着飾り、オレンジ色の髪の毛を編み込んで結んでいる。
この人と江崎くんはどういう関係なんだろう。
「あれ?この人達、知り合い?」
俺達を指差して首を傾ける彼女は本当に知らないんだろう。俺も見たことがない。
「悠大くんの友達?」
「……ああ。ただの幼馴染みだから」
ただの幼馴染み……?それって星那ちゃんのこと?でも、ふたりは付き合っているはずなのに……。