・喫茶店『こもれび』


誰がどう見ても、恋人同士みたい。


同級生だというだけあり、女性も三好さんにお似合いなくらい大人っぽくて。
綺麗に髪を結い上げ、嫌みの無いくらいなメイク。
カジュアルっぽく着こなしているけれど、結構スタイリッシュな服装をしていて。
腕にはバングル、一粒のダイヤが胸元でキラリと輝き。
それがイミテーションではなく、本物のダイヤだと主張していた。


「麻衣、今まで店に来たことが無かったのに。どうして突然来たんだ?」

「うん。夏樹に、話したいことがあって……ね」


そう言ったきり、女性は口を噤んだ。
なんだか凄く嫌な予感しかしない。

「やっぱり聞かない方がいいよね。退散しよう!」そう思った瞬間、彼女の重い口が開いた。


「別れてからも、夏樹のこと忘れられなかった。ずっと、何をしていても誰といても。いつも夏樹と比べて、夏樹を重ねてた」

「そっか。うん、俺も忘れられなかった」


三好さんの声が耳に入り、ヘロヘロと全身の力が抜ける。
気力がなくなるって、こういうことを言うのかな。


なんだ。
やっぱり、二人は付き合っていたことがあったのだ。
昔、恋人同士だった二人。

ならば彼女の好きな飲み物くらい、三好さんなら把握していて当然だ。
驚くようなことじゃないよね。
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