雨降る午後に
てろてろした素材が、体に添っている。
「あの、ありがとう。ノート届けに来て、かえって迷惑かけちゃって。そうだ、ノートもちょっと濡れちゃって。はじめ、手に持ってたから」
「手に持ってたの?濡れてなかったよ。…代わりに自分が濡れちゃって。もう、こんなことするんなら、三鷹にノートなんか貸せないな」
怒ってる。
あたしは、タオルとドライヤーを、春陽に渡す。
春陽の視線が、タオルに落ちる。
目を伏せてる感じも、いい。
見てると、目を上げて、
「何?」
面白そうに聞いた。
まっすぐこっちを見ているその目は、もっといい。
どうしよう。
もしかしたら、春陽がかっこいいってこと、みんなも知ってるのかもしれない。
三鷹がかわいいって言って、みんなを油断させながら、春陽を狙ってるのかもしれない。
何で、もっと早く気が付かなかったんだろう。
「うん、春陽君って、いいなって思って」