副社長のイジワルな溺愛

 十五時過ぎに倉沢さんから確認のメールが届いて、待ち合わせ時間に社の正面入口で待っている。
 週末は同じように街へ繰り出す社員が多く、特に女性社員は通りすがるだけでいい香りを漂わせていて、同じ女性でも二度見してしまいそうなほど。


「深里さん、お待たせ」
「お、お疲れさまですっ!」

 社から一歩出て倉沢さんと話すのは初めてで、挨拶さえまともに返せなくなりそうだ。


「早速行こうか。ちょっと歩くけど平気?」
「はい、大丈夫です」

 最近履き続けていたおかげで、ヒールで歩くのも慣れてきた。
 本当に副社長には感謝だけど……なにを話したら楽しんでくれるのかも聞いておけばよかったかなぁ。


「今日さ、言っておかなくちゃいけないことがあって」
「はい」

 秋の夜に包まれた街を歩くだけで、デートをしているようでドキドキする。
 倉沢さんの声を聞くだけで、胸の奥がきゅんとして痛くて……幸せな気分だ。


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