副社長のイジワルな溺愛
休憩時間が残り十分に迫り、社食から出て十七階の経理室に戻った。
誰も悪くないのに。
噂が早く消えてくれたらいいのに。
考えることはそればかり。
想うのは倉沢さんのことだけ。
元から期待できないって思ってたけど、実際にこうして距離ができると悲しくなる。
片想いでもいいから、挨拶も雑談もできる毎日が恋しい。
――八月末の経理業務が立て込み、毎日があっという間に過ぎていく。
先月のような差し戻しのないよう、一つ一つ確実にこなして、経理室長へ承認作業を回付した。
あとは、副社長の分を残すのみ。ちょうど締日と金曜が重なっているし、副社長室へ行くと付箋で室長に告げてから部屋を出た。