副社長のイジワルな溺愛
経理書類を片付けつつ副社長を見遣ると、心なしか嬉しそうに見えた。
「やっぱり、いいことがありましたか?」
「……君に報告するほどのことではない」
また冷淡さを全開にした顔で、私と一瞬だけ視線を合わせて、副社長も忙しなくキーボードを打っている。
「終わりました」
「お疲れさま」
「また来週伺います」
何も変わったことなく、御門タイムが終わって経理室へ。
自席でPCにログインして、保存していたデータを再表示した。
副社長室から送信したデータを早速確認して、経理室長に回付し、他に緊急の案件がないかメールを確認する。
【遅くなりました】
倉沢さんからのメールがその他の連絡に紛れて届いているのを、すぐに見つけた。
タイトルからして、彼らしい。真面目で優しくて……話している声をすぐに思い出せる。