副社長のイジワルな溺愛
「銀座に行った日、“私は副社長の女なんですか?”って聞いてきただろ? 面白いことを言う変わった社員がいるもんだなって思っただけだった。俺はこのとおり怖がられているから、余計にね」
その頃の出来事を振り返る彼は、懐かしむ表情をしている。
食べながら聞いてくれたらいいと言われ、牛タンの美味しさに笑みをこぼすと、彼も微笑んでくれた。
「次に会った時も自分の魅力は何かって、真面目な顔で問いかけてきたりして」
「はい」
「その時、俺は勘違いしたんだ。君は、俺が好きなのかもしれないって。それに、俺も接するたびに、君が気になるようになった」
まさか、そんなに前から私のことを気にかけていたなんて信じられない思いだ。
副社長はこんなに優しくなかったし、もっと突き放すようだった。
それに……私の好きな人が倉沢さんだって知っていたんだから。