副社長のイジワルな溺愛

「謝らなくていい。少しでも君の役に立てたなら本望だ」

 焼きあがったお肉を食べることも忘れ、彼の言葉に心がじんと温かくなる。


「できることなら、君の名前も知らない頃に戻りたいが……もう無理だろうな」

 彼がレモンサワーを飲んでからひと息ついた時、何かを諦めたように見えた。


 おもむろに煙草を咥えて、煙を吹く口元に見入ってしまう。
 重ねられた唇の感触をふと思い出したら、恥ずかしくなった。


「何を照れてるんだ?」
「……すみません。副社長のキスを思い出しちゃっただけです」
「っ!!」

 煙でむせた彼が、涙目で私を睨んできた。


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