副社長のイジワルな溺愛

 社内を歩くだけで、昨日のことを知った女子社員が私を見る。
 人気のある彼のことだから、なおさら興味を引いてしまっているのは仕方ないけれど、少なくとも昨日は副社長が半ば強引に堂々と私を連れ出しただけで……。


 ランチから戻る間も噂の声は絶えない。一度ならず二度も話題になれば、確実性が増すものだ。


「……お疲れさま」

 どうやら外出していたらしい副社長が、エレベーターを待つ私の隣に並んだ。
 渦中の二人が居合わせれば、必然的に周りの関心を引いてしまって――。

「お疲れさまです」
「騒ぎになってすまないが、君は何も心配しなくていい」

 副社長は私と目を合わせず、小声で話しかけてきた。
 私は彼の様子が気になって見上げると、背後で噂をしている女子社員たちを鋭い目つきで見渡している。


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