副社長のイジワルな溺愛

「私の噂で持ちきりのようだが、彼女を悪く言うのは間違っている。噂のとおり、私は彼女を誘って出かけたが、それは私が一方的に好意を寄せているからであって、特別な関係ではない」

 副社長がはっきりと告げると、一瞬にしてどよめきが起きる。
 御門建設の御曹司で、社内で最も人気のある彼が私なんかを相手にしていると認めたのだから、一層関心を引いてしまって……。


「ただ、他人のことを噂するのは楽しいだろうが、いい趣味とは言えないな」

 続けられた言葉で、今度は波が引くように静かになった。



「早く乗りなさい」
「っ!!」

 ランチ用のバッグを持っている腕を引かれ、エレベーターに乗せられた。掴まれたところから、ドキドキと鼓動が鳴り出したみたいだ。


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