副社長のイジワルな溺愛

 泊まって行ってもいいと言われたけれど、私の心臓が持たなそうで帰宅を選んだ。



「酒飲んじゃったから送れなくてごめん」
「大丈夫です」

 相変わらず境の分からない玄関で、彼の靴の近くに脱いでおいたショートブーツに足を入れる。
 振り返って彼と向き合うと、スーツベストとYシャツを着てはいるものの、胸元のボタンは二つ外れているし、料理をしたときに袖を適当に捲ったまま。
 その着崩しがやたら色っぽさに拍車をかけていて、Yシャツから覗く胸元から視線を外せなくなった。


「茉夏」
「っ!! は、はい」

 初めて副社長が私の名前を呼んだから、一気に鼓動が跳ねあがる。
 名前を呼ばれただけなのに、こんなに頬が熱くなるなんて知らなかった。

 そして、呼び捨てられてちょっと嬉しいと思っている自分に気づかされた。


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