副社長のイジワルな溺愛

「おかげで、こんなにひねくれた男になった」
「ひねくれてなんかないですよ。副社長はとてもまっすぐで魅力的な人だと思います」
「……何を言うかと思ったら」

 ビールが入ったグラスを傾け、琥珀を喉に流している彼に見入る。


「またキスをされたいのか?」
「っ……違います」

 慌てて言うと、彼は黙って食事を再開した。
 キスをしてほしいなんて大胆なことは言えないけど、でも、副社長のことは嫌いじゃない。


 会うたびにこんなにドキドキさせられて、見つめられると心ごと吸い取られてしまいそうになる。
 そして、本当は優しくて頼りがいのある温かい人。

 泣いても笑っても、ちょっとくらい拗ねたって、彼は微笑んで私を包んでくれる。

 今夜は、ちょっと寂しそうにするときがあるって知った。
 本当は会長のことも嫌いにはなりたくなかったんだろうなぁって、なんとなくそう感じたんだ。
 毎日、こんなに広い部屋で一人過ごす彼を、もっともっと知りたいとも思う。


「どうしたら君が落ちてくれるのか知りたいよ」

 切なげに見つめてくる彼の瞳に、私の鼓動は大きく鳴って止まらなくなった。


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