副社長のイジワルな溺愛
「副社長は、ベッドを使ってください。狭くて申し訳ないのですが」
「茉夏はどうするんだ?」
「私は、実家から送ってもらった予備の敷布団があるので」
掛布団はないけれど、まだ真冬でもないから厚着をして眠れば大丈夫だろう。
クローゼットの戸を開けて、ハンガーを端に寄せると、使ったことのない新品の敷布団が見えた。
「っ!!」
布団を出そうとすると、副社長が私を抱きしめてきて、驚きと共に両肩が上がる。
「こういう夜は、一緒に眠るのが普通だから」
「そ、そうなんですか?」
強引にクローゼットから離され、手を引かれるままにベッドへ直行させられると、彼が先に横たわった。
「こっちおいで」
空いているスペースを、彼が軽く叩く。
人生で初めての出来事に、味わったことのない緊張感で手が冷たくなった。
湯上がりで髪がラフになった彼の艶は、匂いとなって伝わってきそうなほど。
頬杖をついて私を待つ彼は、きっと緊張なんてしていないんだろう。
掛け布団で腰から下は隠れているけれど、上半身裸の彼は直視できない。