副社長のイジワルな溺愛

「あんなラスト、予想してなかったです」
「ラストがあれって、予想外だな」

 どちらからともなく二時間半ぶりに言葉を交わしたら、同じことを言うから笑いあってしまった。

 観た人の大半がそう言うのかもしれないけど、感じたことを同じタイミングで言ったのが面白くて、嬉しくて……。


「茉夏」
「はい……っ!?」

 ぞろぞろと出てくる観客の目を気にせず、彼が私の目の高さまで舞い落ちるように顔を近づけ、突然キスをしてきた。


「よし、充電完了。次はどこに行きたい?」

 何事もなかったようにする彼に手を引かれて歩く私に、居合わせた女性たちが羨ましそうな視線を向けてくる。
 会社の人じゃなくて良かったと思いつつ、彼と一緒にいれば無敵だとも思った。


 だって、こんなに優しくて温かい人だから。
 いつでも私を守るって言葉にしてくれるから。

 生まれて初めて、失いたくないほど好きになった人だから……。


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