副社長のイジワルな溺愛
グラスビールで乾杯して、チョリソーを食べる彼も夜景を眺めて目を細めている。
彼は運転があるからノンアルコールビールだけど、気分を合わせたかったのだろうと思う。
さっきまではあんなにたくさん話してくれたのに、ここに来たら途端に無口になった気がする。食事中だからかなって思ったけど、そうじゃないような気もして……。
ポテトサラダやスモークサーモンのマリネをつまみつつ、早くも二杯目のビールを頼んだ彼は、ゆっくりと食事をしている私に改めて向き直った。
「茉夏、話しておきたいことがある」
「…………」
予感的中。何かあるんじゃないかと思っていた通りだ。
彼は話し出す頃合を見計らっていたから、あまり口を開かなかったのだろう。
「話していい?」
「はい」
口角を少しだけ上げている彼の表情は、きっと何かいいことを告げてくれるんだろうと期待する。
だから私も、彼のタイミングを受け入れ、頷きと共に返事をした。