副社長のイジワルな溺愛

 まだ数えるくらいしか来ていないけど、彼の自宅の光景は目を閉じればすぐに浮かぶくらい印象的だ。
 眺望もいいし、何よりも広い。そして、そこで生活する彼にあまりにも似合いすぎているから。


「適当にゆっくりして。酒が欲しかったら冷蔵庫にあるのを飲んでいいから」
「ありがとうございます。もう食事は大丈夫ですか?」
「小腹が空いたら、何か作るよ」
「わかりました」

 ソファに座ると、彼もやってきて肩を抱かれた。
 彼の肩先に頭を預け、ほんの少しだけ寄りかかる。じんわり温もりが伝わってこないかなって思うのは、夏と違って服の厚みが邪魔だからだ。


「時間はまだあるから、行きたいところがあれば言って。やりたいことでもいいし」

 壁のおしゃれな時計は二十二時半を回ったところ。時間はまだあると言われても、あと一日くらいしかないと思ったら、一緒にいても切なくなった。


「副社長」
「なに?」
「私の話も聞いてもらえますか?」
「いいよ。何のこと?」

 座面の大きいソファにゆったり座っていた身体を起こして、私はまっすぐ彼を見つめた。


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