副社長のイジワルな溺愛

 下唇を吸ってから離れた彼の唇が濡れていて、色っぽい。
 私を見つめる彼の瞳は優しくて、私を大きく映している。


「お前が俺に堕ちたことくらい、見てれば分かるよ」
「えっ!? でも私、ちゃんと好きって言ってないです」
「言わなくても分かる。告白の返事が言葉とは限らないのが大人の恋だよ」

 それから何度も私にキスの雨を降らせ、ソファから立ち上がった彼に手を引かれてリビングを出た。


 大きなガラス戸の向こうに、広々とした部屋があって、見たこともないサイズのベッドが置かれていた。


「副社長の部屋ですか?」
「そう。ここでいつも仕事をしたり、茉夏のことを考えたりしてる」
「っ……!!」

 室内を歩く間も甘い言葉で私を戸惑わせては、彼は髪にキスをしてくる。
 見上げれば唇を重ねられ、軽々と抱き上げられた私はベッドに横たわった。


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