副社長のイジワルな溺愛

 血流の音がする。
 ドキドキと鳴る鼓動に混じって、緊張で全身が包まれていくのが分かって、どこを見ていいのかすらわからない。


「茉夏」
「……はい」

 ロングカーディガンを脱いでフローリングに落とした彼は、胸元で両腕を縮めている私に覆い被さった。


「怖い?」
「…………」
「初めて、でしょ?」

 小さく頷くのが、恥ずかしい。
 “初めて”を彼に見破られているとなんとなく思っていたけど、口にされると重みが変わってくる。


「俺のこと、好き?」
「はい」
「どれくらい?」
「……失うのが怖くなるくらいです。いま一緒にいるのにもう会いたくなるくらい、ずっと一緒にいたいです」

 思いの丈を震える声に乗せたら、彼はやんわりと笑顔を見せてくれた。


「俺も、お前を愛さずに生きていけないくらい大好きだ」


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