副社長のイジワルな溺愛
十二月二十二日。
木曜の夜だというのに、十七階から見下ろす街並みはやたら煌めいている。
それもこれも、みんなクリスマスのせいだ。
香川さんは倉沢さんと一緒にいるようだし、経理室内も早々に閑散とし始めた。
「お先に失礼します」
「はい、お疲れさん」
先輩社員に一礼して、十九時前に経理室を出た。
今日はどうしようかな。
今まで何度もひとりぼっちのクリスマスを過ごしてきたのに、副社長に恋をしてからというもの過ごし方を忘れてしまったようだ。
彼がいないと、どんなに煌めくイルミネーションも白黒にしか見えない。
他の恋人同士が羨ましいと、心底思ったのも初めてだ。
エレベーターで地上階に下りて、未だに社員が行き交うエントランスロビーを抜ける。
年末の挨拶で訪れたと思われる来客が、総合案内の受付嬢と話しているのを横目に見た。