副社長のイジワルな溺愛

「何事もなく過ごしてたか? 困ったことはなかった?」
「……ありました」
「なに?」


 ぽろぽろと途切れることなく頬を伝う涙は、その粒に私の想いを閉じ込めているよう。

 彼があまりにも優しく見つめてくるから、想いが言葉になろうとする。
 そして、愛しかった温もりを感じる手で頬を包まれたらとめどなく溢れだした。


「副社長が足りなくて、困って……毎日寂しくて」
「そうか」

 ちょっと嬉しそうに微笑んだ彼は、悲鳴のような声を上げている周囲の女子社員には目もくれず、私の手を引いて社を後にした。


 今年のクリスマスも一人で過ごすものだと覚悟していたのに……。
 イルミネーションが輝く世界は、好きな人と見るとこんなに綺麗なんだと初めて知った。


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