副社長のイジワルな溺愛

 叶えてみたかったことが、どんどん現実になっていく。
 花火を見ながら想いを言葉にされたいと、学生時代から思っていた。人目を憚らずキスをされるのは、どれだけドキドキするのか知りたかった。


 合間に惜しみなく送られる拍手に応えるように、仕掛け花火が再び打ちあがる。
 小風吹く夜空で綺麗に形を成しては、一瞬だけ花咲く姿は圧巻で、言葉もなくひたすら見入った。



 二十時半頃、終了のアナウンスが流れて、次々に観客が立ち上がって帰路を急ぐ。


「茉夏、写真撮ろう」
「持ってきてたんですか?」

 マチのある信玄袋から出したポラロイドカメラを掲げ、私に顔を寄せた彼がシャッターを切った。
 画像が浮かびあがるまでの間、心なしか冷たくなってきた夜風で自然と肩を竦める私に、何も言わずに身を寄せてくれる優しさが染みるよう。


「お、いい感じに写ったね」
「本当だ!」

 急いで帰らなくてもいいだろうと、人混みを他所に座ったままで数枚写真を撮る。
 慧さんが不意を突いて頬にキスをしたから、またしても私は顔を赤らめた。


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