副社長のイジワルな溺愛

 小花が咲き誇るような千輪菊の連発に圧巻されていると、慧さんがふと耳元に顔を寄せてきた。

「茉夏、好きだよ」
「っ!!」

 驚きで振り向くと、彼が教えてくれた鼻先の距離に顔があって。


「今日のお前、すっごく綺麗。いつもかわいいけど、今日は特別」

 後ろの人の視線なんてお構いなしに、彼はキスをしてきた。
 ちゅ、と音を立てられて恥ずかしくなるけど、きっと花火の轟音で誰にも聞かれていないだろう。


「惚れ直したよ、本気で」
「もう、それ以上は……」

 私が何でも話してほしいと言ったから、わざと意地悪をして正直に言ってるんだと分かるけど、やっぱり恥ずかしくてたまらない。


「茉夏が言えって言ったんだからな?」
「……言わなくていいですっ」

 困り果てた私の頬を一瞥し、彼は楽しそうに夜空を見上げた。


< 358 / 386 >

この作品をシェア

pagetop