副社長のイジワルな溺愛

「私の好きな人、知ってるんですか?」
「分かってるよ。イニシャルはKが付く男だろ? 仕事ができて人気もあって……君にしては高望みの相手。……違うか?」
「っ……!! そ、そう……です」

 イニシャルはK。構造設計グループ内のエリートで将来有望。社内の女性人気はトップクラス。
 ……倉沢さんだって知られちゃってたんだ。なんだか恥ずかしいな。
 私は思わず俯いて、熱くなってきた頬を両手で挟み隠した。


「素直でよろしい。では、約束通り手助けしてやろう」

 椅子から腰を上げた副社長は、私の前に姿勢よく立ってまじまじと見降ろしてくる。
 百八十五センチの長身を見上げると、三十センチ差が如実で首が折れてしまいそうだ。


「まずは、ナチュラルメイクを覚えなさい。それから、リュックサックで通勤はしないこと」
「ナチュラルメイク……頑張ります! バッグも他のものにします」
「それだけじゃ不十分だが、今よりはその男の気を惹けるかもしれない。見た目は大切だからな」
「はい!」

 倉沢さん大作戦、決行!
 しかも副社長という大きな味方付き。

 もしかしたら、上手くいくかもしれないなぁ。


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