副社長のイジワルな溺愛

 振り返って見上げれば、ひっくり返ってしまいそうなほどの超高層マンションが建っていて、ぽかんと口を開けたまま見つめ続けてしまった。
 一体何メートルあるのだろう。御門建設の倍はありそうな高さだ。夏の夕空に突き刺さっているようにも見えるし、このまま見ていたら折れて覆い被さってくるような感覚もする。


「深里さん」
「っ、はい」

 車から降りた副社長に呼び寄せられて小走りで駆け寄るも、私を待たずに彼は中に入ってしまった。


「一番気を使わずに済む場所だから、ひとまずついてきなさい」
「何のお店に行くんですか?」
「店? これから俺の部屋に行くんだけど」
「えっ!!」

 静寂に包まれたマンションのエントランスロビーで思わず大きな声を出してしまった私を、副社長は冷たい視線で一瞥して先に歩いていく。



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