one’s life~吉木野乃花の人生、全四話~
ジェットコースターから降りると、翼くんはおぼつかない足取りで階段を下りていった。


『翼くん大丈夫?あ、あのベンチで休も』


『あぁ』


そう言いながらも、真っ青な顔色で翼くんはベンチへと雪崩れるように横になった。


『苦手なら言ってくれればよかったのに』


『野乃花が乗りたいって言ったから』


『ごめん』


『いや、違うんだ。野乃花のせいとかそういうことじゃなくて、遊園地初めてだって言うし、乗りたいものにのせてやりたかたんだ』


『…翼くん…ありがと』

『おう』


まだ少し顔色のよくない翼くんに申し訳なさを感じながらも、翼くんの優しさがすごく嬉しかった。


『あ、そうだ。乗りたいものに乗せてくれたお礼に何でも言うこときくよ。ジュースを買って来るでも何でも』


『何でもいいの?』


『何でもいいよ』


『じゃあ、膝貸して』


『ひざ?』

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