one’s life~吉木野乃花の人生、全四話~
『そ、膝枕して』


一瞬、何をどうしたらいいのか本気で分からず行動できずにいると、顔色が良くなりつつある翼くんの瞳が輝いた気がした。


『どうぞ』


そう言って翼くんは体を起こし、私の座るスペースを作った。


『あ、うん』


そのスペースに座ると、直ぐに翼くんの頭が膝に乗った。


『寝心地悪くない?』

『ん?すごくいい』


『……』


周りの視線が気になったが、応急対応だからと、できるだけ気にしないことにした。


『翼くん、高い所苦手だったっけ?』


『いや、大丈夫だけどどうして?』


『えーと、ジェットコースターの何が苦手なのか気になって』


『あー何て言うか、落ちる時の感覚かな。何かこう、心臓が前に出てるような気がするっていうか…うん』




高い所は大丈夫という言葉を聞き安心した私は、上機嫌で『次は何に乗ろっか?』と言っていた。
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