one’s life~吉木野乃花の人生、全四話~
「ううん、もういいの。あの時は、それが正解だったんだと思う」


アメリカにいる間、ずっと気になって苦しんでいたんだろうと想像することができた。


それほど、翼くんの声は苦しそうだった。


「あの時、翼くんがここに来たとしても、きっと直ぐに連れ戻されて同じようになってたんだと思う。もしかしたら、逃げちゃった分、翼くんは今日みたいに二度と日本に戻れなかったかもしれない。上手く逃げられても、二人で死んじゃってたかも」


「……」


「今日はどうしてここに?」


「大学も、あっちで進学しようと思って。それで滞在許可とかの申請に」


「自分で決めたの?」


「ああ」


「そっか、やりたいことやってるんだ」


「…ごめん」


「謝らまいでよ。私もやりたいことやってるし」


きっと、翼くんの苦しみを解放することができるのは私だけだ。
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