誰も知らない彼女
なのに、ふたりが磐波さんのことが気になっていることがどうしておもしろくないと思っているんだろう。
ふたりのことは本当の意味で友達だと思っているけど、磐波さんだけは譲りたくないっていう感情が心の中で芽生えはじめたからだろうか。
なんて考えている場合じゃない。
今だけはそのことは考えないようにしよう。
心の中でつぶやいていたことから全力で逃げるように「これにしようかな」と磐波さんと秋帆に聞こえるようにつぶやいた。
そのときに由良が「えーっ、私の質問に答えてくれないの? なんだか今日の抹里って冷たーい」とわざとらしく頬を風船のように膨らませた。
気にしない、気にしない。
わざとらしく言っていてもあまりダメージはないはずなのに、由良の『冷たい』という言葉が私の心をグサッと突き刺した。
暴力的でもなく嫌味でもないそれが、今の私にとって言葉のナイフになっている。
一番仲がいい由良から与えられた、なんとも言えないマイナスな感情があふれようとしている。
「んー……私はオムライスにしよっかな」
メニュー表をパラパラとめくって全然見ようとしない秋帆が感情のこもっていない声で明るい雰囲気を取り戻そうとした。
秋帆がそう言った理由を察したのか、由良が私の持っているメニュー表に目線を向けながら「うーん」と悩んだのち、笑顔を秋帆と磐波さんに向けた。
「私、お腹ペコペコだからがっつり食べたいんだ。だから、ボリュームのあるハンバーグにする!」
へぇ、なんか意外。
ふたりのことは本当の意味で友達だと思っているけど、磐波さんだけは譲りたくないっていう感情が心の中で芽生えはじめたからだろうか。
なんて考えている場合じゃない。
今だけはそのことは考えないようにしよう。
心の中でつぶやいていたことから全力で逃げるように「これにしようかな」と磐波さんと秋帆に聞こえるようにつぶやいた。
そのときに由良が「えーっ、私の質問に答えてくれないの? なんだか今日の抹里って冷たーい」とわざとらしく頬を風船のように膨らませた。
気にしない、気にしない。
わざとらしく言っていてもあまりダメージはないはずなのに、由良の『冷たい』という言葉が私の心をグサッと突き刺した。
暴力的でもなく嫌味でもないそれが、今の私にとって言葉のナイフになっている。
一番仲がいい由良から与えられた、なんとも言えないマイナスな感情があふれようとしている。
「んー……私はオムライスにしよっかな」
メニュー表をパラパラとめくって全然見ようとしない秋帆が感情のこもっていない声で明るい雰囲気を取り戻そうとした。
秋帆がそう言った理由を察したのか、由良が私の持っているメニュー表に目線を向けながら「うーん」と悩んだのち、笑顔を秋帆と磐波さんに向けた。
「私、お腹ペコペコだからがっつり食べたいんだ。だから、ボリュームのあるハンバーグにする!」
へぇ、なんか意外。