誰も知らない彼女
なんて思た数秒後、若葉のうしろ姿が突然ピタリと止まった。
急なことだったので、私は思わず彼女の背中にぶつかってしまいそうになった。
若葉が止まったのは、誰もいない階段の踊り場だった。
彼女が立ち止まったところでさっそく質問する。
「……朝丘さん、話ってなに?」
私がそう言った瞬間、若葉は一瞬目を見開いたが、すぐにいつもと同じ微笑みを見せた。
「じつは榎本さんにしか頼めないことがあってね。私、今週の土曜日に合コンに行くことになったんだけど、あともうひとり女子が足りなくて……」
合コン⁉︎ 若葉が⁉︎
そんな単語が若葉の口から出ることに驚きが隠しきれない。
てっきり若葉は彼氏でもいるのかと思っていたけど、もしかしたらいないのかな?
顔は申しぶんないから、すぐに彼氏できると思うんだけど。
若葉に彼氏がいないのはちょっと意外。
って、えっ。まさか……。
「だから、私が参加する合コンに榎本さんもどうかな?」
そのまさかだった。
私が、合コンに? 若葉と?
そう思ったところで叫びたくなった。
だけどここが学校であることだと気づき、思いとどまった。
「……え、えっと、他の女子には頼めないの?」
感情を押し殺してこう言うしかなかった。
案の定、若葉は苦笑いを浮かべて私から視線をそらした。
急なことだったので、私は思わず彼女の背中にぶつかってしまいそうになった。
若葉が止まったのは、誰もいない階段の踊り場だった。
彼女が立ち止まったところでさっそく質問する。
「……朝丘さん、話ってなに?」
私がそう言った瞬間、若葉は一瞬目を見開いたが、すぐにいつもと同じ微笑みを見せた。
「じつは榎本さんにしか頼めないことがあってね。私、今週の土曜日に合コンに行くことになったんだけど、あともうひとり女子が足りなくて……」
合コン⁉︎ 若葉が⁉︎
そんな単語が若葉の口から出ることに驚きが隠しきれない。
てっきり若葉は彼氏でもいるのかと思っていたけど、もしかしたらいないのかな?
顔は申しぶんないから、すぐに彼氏できると思うんだけど。
若葉に彼氏がいないのはちょっと意外。
って、えっ。まさか……。
「だから、私が参加する合コンに榎本さんもどうかな?」
そのまさかだった。
私が、合コンに? 若葉と?
そう思ったところで叫びたくなった。
だけどここが学校であることだと気づき、思いとどまった。
「……え、えっと、他の女子には頼めないの?」
感情を押し殺してこう言うしかなかった。
案の定、若葉は苦笑いを浮かべて私から視線をそらした。