あずゆづ。

「………め、がね……」

「…え……?」


メガネって、私のこと……だよね?


「……ゆづくん……」


きゅうんと、胸が苦しくなって。

たまらず、返事をするように、そっとゆづくんの名前を呼んだ。


「……俺から、はなれんな、」

「っ」


ゆづくん、夢……見てるの、かな。

どんな夢?

……私の、夢だったり……するのかな?


「もしもし……ゆづくーん……」


とくん、とくんと一定のリズムで鳴る私の心臓。


……ああ、わかった。


きっと、私も、夢見てるんだ。

だってゆづくんが、こんなにかわいい寝顔で隣で寝ているなんてことありえないし、こんなに穏やかに私のこと呼ぶわけないもん。

だからきっと、これは夢。

私は、貧血で倒れたまま目を覚ましていない状態で、夢を見てるんだ。


夢なら……何をしてもいいかな。



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