あずゆづ。

「じゃあなんで目ェ合わせねんだ!!」

「……!!」


肩をつかみ、自分の方を向かせようとするゆづくん。

私はそれに必死で抵抗する。


だめだよゆづくん。


今、そんなに近くに来られたら。


私…。


「…ご、ごめん……!!!」


ゆづくんから逃げるように、教室を出た。

どこに向かうわけでもなく、廊下が続く限り走る、走る。


とりあえずゆづくんが来ないところまで走……


「…って……」


なんで私……ゆづくんから逃げてるの~!?!?

自分で自分の行動がわからないまま、とにかく長く続く廊下を走った。


避けたいわけじゃないのに。

逃げたい訳じゃないのに。


でも、なによりも恥ずかしいって気持ちが大きく鳴りすぎて、今まで普通に見ることができていたはずの、ゆづくんの顔が……今は全然見ることができない。


ごめんなさいゆづくん。


こんなわけのわからん私でごめんなさあああい!!


心の中でそう叫びながら、半泣きで全速力で走った。


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