あずゆづ。


そこまで考えて、私はやっとゆづくんのことを思い出し、慌てて周りを見渡す。

しかし、周りの道行く人々の中にゆづくんの姿はどこにも見えなくなってしまっていた。

そんな……ここまで追っかけてきたのに……ここで見失ってしまうなんて……。


「なにか探してるの?」


あたりをキョロキョロ見渡し、ゆづくんの姿が見当たらないことに関してあからさまに落ち込む私に、ゆうちゃんが声をかけてきた。


「あ、いや……」


完全に見失った……!!

ああ、ゆづくんのパーフェクトマッスル……


落とした視線を、ちらりとゆうちゃんにうつす。

………か細い。


丁寧に着られたブレザーの下に、私の望むマッスルたちはいないだろう。

そしてこんなところでゆうちゃんと二人でいたら、クラスの女の子たちにあらぬ噂をたてられる。

結論。


「あ、ゆうちゃん、その…私ちょっと…」


ここはゆうちゃんのお誘いを丁重にお断りするのが無難と判断!!


「え、梓ちゃん、何か用事でもあった?」

「いやないんだけどマッスルが噂になったら……」

「……???」

「…………」


なんか、今、私……。

いろいろ混ざって訳わかんないこと言った!!!


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