あずゆづ。
ふと。
ゆづくんの表情が歪んでいるのに気づいた。
「ゆづく」
「無理して傍にいたんだな」
「っ」
………違う。
……無理してなんかない。
「そ、それは違うよ…!!」
「どう違うんだよ」
……冷たい。
いつもゆづくんに抱いてる怖いって気持ちなんかじゃ比べ物にならないくらい。
自分の体が、小刻みに震えて、指先から体温が下がり冷たくなっていってるのがわかる。
それでも、ちゃんと向き合わなきゃいけない気がして、目を逸らさずに答えた。
「だって、傍にいられればゆづくんの筋肉がより間近に…っ!!」
「……」
私の言葉を聞いたゆづくんは、
呆れたようにふっと鼻で笑った。
「……アイツと付き合うなり他に行くなり、勝手にしろ」
「……え……っ」
そっと、ゆづくんの手が私から離れた。
「ゆづくん……!!」
私に背中を向けて、そのまま歩き出すゆづくん。
さっきまで、目の前にあるとひどく安心できたはずの大きな背中が。
今ではすごく冷たくて、こわくて。
悲しくて。