過保護な騎士団長の絶対愛
「なにをするの!? 離して!」

「あまり抵抗されるな、どうあがいても無駄なこと」

 唇の端に卑下た笑みを浮かべ、ガイルは片手で挟み込むようにララの顎を掴んだ。ガイルの両眼に鋭い光を見ると、ララは短く息をのんだ。

「あなたのその怯えた姿、本当にそそられる」

「嫌っ!」

 思い切り両腕を突っぱねてガイルから逃れようとするが、その力強い腕の拘束はララの細い腕ではびくともしない。

「陛下、お戯れが過ぎますよ」

 その時、今まで無言を貫いていたサランが口を開いた。陛下に口出しをするということは、時に命取りになりかねない。しかし、サランは毅然としてガイルを見据えていた。

「ふん、口うるさいのは昔からだな」

 ガイルは興が削がれたというように、ララを乱暴に引き離した。

「姫様に食事の用意をさせろ。いいか、ここから一歩も外に出すなよ?」

「御意に御座います」

 そう言ってガイルはララを一瞥すると、カツカツと踵を鳴らして部屋を出て行った。
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