過保護な騎士団長の絶対愛
「こんなに、ひとりで食べきれないわ」

 しばらくすると、ぞろぞろと侍女たちが部屋に数人入ってきて、ワゴンに料理を載せた皿をテーブルに広げ始めた。とてもじゃないが、ひとりで食べる量ではない。

「陛下よりのおもてなしで御座います。足りないものがあればなんなりとお申し付けください」

 チキンのもも肉がこんがりローストされ、色とりどりの野菜に囲まれて銀食器の上に載っている。その横にはホワイトソースのかかった魚料理。そして、トマトスープは新鮮なものを使ったとわかるくらいに香り高く、失せていた食欲を一気に煽られる。バケットの中には焼きたてのパンが山のように入っていて、手元に手洗い用のフィンガーボールが用意された。


 私のことどれだけ大食いだと思っているのよ――。


 部屋に食欲を掻き立てる匂いが充満し、ララは空腹に耐えかねて食事に手を付けることにした。

 ララが食事を始めると、サラン以外の侍女たちはそれぞれ部屋を出て行った。

「あの、そんなに見られると居心地悪いんだけれど……」

 常に監視しているような視線を向けてくるサランにララは耐えかねて言うと、サランは軽く頭を下げた。
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