過保護な騎士団長の絶対愛
「コルビス……モリス・スイーダ・ウェイン……」

 サランの唇がかすかに動くがその呟きは、はっきりとララの耳には届かなかった。

「どうかした?」

「いえ、なんでもございません。お食事の方、お済でしたらお下げいたします」

「え、えぇ。お願い」

 食事はどれも美味しかった。気持ちが沈んでいても、料理の味だけは嘘をつかない。

「お食事はお口に合いましたでしょうか?」

「えぇ、とても美味しかったわ。ありがとう」

 ララはサランが自分に背を向けてワゴンに食器を片づけている隙を見計らって、カトラリーのナイフをそっと膝の上のナプキンに巻いて隠した。
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