過保護な騎士団長の絶対愛
 ララの監禁されている部屋には時を知らせる物はない。太陽の傾きで大体の時間を予測するしかその術はなかった。

 監禁されて二日目。

 目が覚めると、いつものようにサランがメイド服に身を包み、きりっとした姿で壁際の隅に立っていた。

「おはようございます。お目覚めですか?」

 いったい、彼女はいつ寝ているのだろう。四六時中見張られて、ララはそう思わずにはいられなかった。交代の侍女がいるわけでもなく、常にサランがララを見ている。

 湯浴みを終えると、すでに部屋に簡単な朝食の準備が整っていた。パンと紅茶のみだったが、ララには十分に思えた。

 席に着くと、サランが紅茶をカップに注ぐ。琥珀色の液体が揺れている。その様子をララはじっと眺めた。


 ――ララ様、紅茶はいかがですか?

 ――砂糖とハチミツはどちらになさいますか?

 ――実は、私も砂糖よりハチミツの方が好きです。それに濃いめの紅茶も私の好みです。


 ふと、頭の中に浮かんだとある日のユリウスとのお茶の時間。
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