過保護な騎士団長の絶対愛
「昔、お仕えしていた方のことです。その方も、濃い紅茶とハチミツを入れるのがお好きな方でした」

「そのお仕えしていた人っていうのは……」

「申し訳ありません。あまりお喋りが過ぎるといけませんので」

 そう言って、サランはまるでララから逃げるようにその場を離れた。

 もしかして、サランは何かを隠している――?

 今まで一切感情を出さなかったサランが昔のことを口にするなんて、ララはそんなサランにかすかな疑念を抱かずにはいられなかった。

 その日の夜。

 ゆっくりと時が過ぎていく。ララが少しでも退屈をしのげるようにと、サランが気を遣って本などを持ってくるが、どれも興味のないものばかりだった。
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