過保護な騎士団長の絶対愛
 夜の帳がゆっくりと降りて、オレンジ色の空に深い藍色の染みが広がっていく。そんな様子をぼーっと何も考えずに眺める。ララは今日一日をどうやって過ごしたのか、まるで思い出すことができなかった。


「姫様、少しお休みになられますか? 夕食もあまり進まなかったようですし」

 自分はいつここから出ることができるのか、コルビスに帰ることができるのか、なによりユリウスに会いたい気持ちが高ぶって、昨夜も眠るに眠れなかった。まだ監禁されて二日目だというのに、気の遠くなるような時の長さで、ずっとこの部屋から出ることはできないのではないかという錯覚さえ覚える。

「そうね、少しベッドに入ってゆっくりするわ」

 疲れた頭で肝心な時に働かなくてはもともこもない。とにかく横になれば少しは眠れるかもしれない。ララはそう思い、サランの言葉に甘んじることにした。


 ――ユリウス! 助けて

 手を伸ばしても、届かない。すらりと背の高い、白銀の髪を結い上げた男は少し振り向いて肩越しにララを見る。


 ――私は、もうララ様のお傍にいることができないのです。

 ――そんな! 待って、行かないで!

 ――私、私! あなたのことが……。

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