過保護な騎士団長の絶対愛
「ッ――!」

 伸ばした手が宙を掻き、ララが勢いよく目を開ける。

 ゆ、夢――?

 真っ暗な部屋にひとつのランプの明かりが灯っている。額に触れると、うっすらとかいた汗が手を濡らした。今まで一度も見たことないような夢に、ララは寒気を覚えた。すると。


「夢見が悪いようですね、姫様」

「――!?」

 この部屋にいるとしたらサランだけだ。それなのに突然、いるはずのはい男の低い声がしてララは短く息を呑んだ。

 誰かいる。

しかし、殺気は感じられない。

 月明かりで逆光になっているが、ララの寝ているベッドの傍らで黒い影がこちらを見て立っている。その影が一歩前にでると、ランプの明かりにぼんやり照らされたガイルの姿が浮かび上がる。

「な、なぜあなたがここに?」

「少し姫様のかわいい寝顔を見られたらと思いまして……あぁ、人を呼んでも無駄だ。すでに人払いはしてある」

 人がよさそうににこりと笑うが、ララの表情は徐々に曇っていった。

「出て行って! ――きゃ!」

 ララが布団を被って身を隠そうとしたその瞬間、ガイルの腕が一瞬素早くララの手首を掴んだ。
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