過保護な騎士団長の絶対愛
今から十年前。
ララが八歳の頃、大嫌いな算術の時間に耐えかねて、世話役の目を盗んでそっと城から抜け出した時のことだった。
ララはひとりで城の周りにある森を散策するのが好きだった。野生の動物をこっそり覗いたり、木の実を食べてみたり、城の中では体験できないことに夢中になっていた。
すると、木々が開けたところで、コルビス王国の歩兵が三人でよってたかってひとりの少年をいたぶっている場面に遭遇した。
ぐったりとした少年は自分よりも幾つか年上に見えた。コルビスではあまり見かけないような、髪色と瞳をしていたのが印象深く、不思議とララの心に残った。
「何をしているの?」
そう問うと、歩兵たちはぎょっとした顔をしてララを見た。
「ラ、ララ様……どうしてここに!?」
「い、いやぁ、こいつちっせぇのに礼儀を知らないもので、躾けていたんですよ」
そうは言っても、ララは大の大人が少年を殴っていたのを見た。躾けは殴るものではない。そう理解していたララは、その歩兵たちに嫌悪感を抱いた。
「やめなさい。あなたたち殴っていたでしょう?」
「ララ様、これは――」
ララは声を張って言った。
「下がりなさい! これは命令です」
たかが少女だったが、王族だ。その凛とした声に歩兵たちは怯み、面白くなさそうな顔をしながら退散していった。
ララが八歳の頃、大嫌いな算術の時間に耐えかねて、世話役の目を盗んでそっと城から抜け出した時のことだった。
ララはひとりで城の周りにある森を散策するのが好きだった。野生の動物をこっそり覗いたり、木の実を食べてみたり、城の中では体験できないことに夢中になっていた。
すると、木々が開けたところで、コルビス王国の歩兵が三人でよってたかってひとりの少年をいたぶっている場面に遭遇した。
ぐったりとした少年は自分よりも幾つか年上に見えた。コルビスではあまり見かけないような、髪色と瞳をしていたのが印象深く、不思議とララの心に残った。
「何をしているの?」
そう問うと、歩兵たちはぎょっとした顔をしてララを見た。
「ラ、ララ様……どうしてここに!?」
「い、いやぁ、こいつちっせぇのに礼儀を知らないもので、躾けていたんですよ」
そうは言っても、ララは大の大人が少年を殴っていたのを見た。躾けは殴るものではない。そう理解していたララは、その歩兵たちに嫌悪感を抱いた。
「やめなさい。あなたたち殴っていたでしょう?」
「ララ様、これは――」
ララは声を張って言った。
「下がりなさい! これは命令です」
たかが少女だったが、王族だ。その凛とした声に歩兵たちは怯み、面白くなさそうな顔をしながら退散していった。