過保護な騎士団長の絶対愛
「いったい、あなたは何が目的なの? ただ私を娶るだけが本来の目的じゃないはずよ」

 すると、ガイルは「ほぅ」と小さく声を漏らした。

「そんなことはない。と言いたいところだが……なかなか察しのいい姫君だ」

 ガイルは取り上げたナイフの平たい部分でララの頬をピタピタとあてがった。

「長年探していた標的がやっと見つかりましてね」

「標的?」

 それは自分ではないはずだ。それなのになぜ誘拐されなければならないのか、ララは全くその接点が見えなかった。

「私があなたに何をしたというの?」

 するとガイルは声を立てて笑うと、首を振った。

「いいえ、違いますよ。私の標的はあなたではない。むしろ、あなたはその標的をおびき寄せる囮だ」

「え……まさか、その標的っていうのは……」

 嫌な予感がさっと過る。


 まさか、ユリウス――?

 背けた顔を思わずガイルに向け、目を見開いてごくりと喉を鳴らすと、ガイルはまるで、ララの心を読んだかのように、ニッと唇の端をあげた。
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