過保護な騎士団長の絶対愛
「ユリウスはあなたを身を挺してお守りする守護騎士。間違いはないか?」

「な……なぜ、それを?」

「平和で温和なコルビスの王都にも、金で動くやつらはたくさんいる。あなたはそれを知らないだけだ」

「お金で情報を買っているというのね」

 この男はどこまで知っているのだろう。カマをかけてくるかもしれない。そう思うと迂闊に返事はできない。

「あぁ、あとついでだから面白いことをひとつ教えてやろう。先日の舞踏会で邪魔してきた黒髪の男の正体をご存知かな?」

「正体……?」

 レオンと名乗った黒髪の旅人。ララの中でもまだ鮮明に記憶に新しい。

「あの男はユリウスだ」

「え……? 今、なんて……」


 どうして? レオンがユリウスだなんて――?

 レオンとユリウスの姿が交錯して、ララの頭が混乱していく。

「あっはは、今のあなたの驚いた顔! どうだ? とっておきの話だっただろう?」

 信じられない。レオンがどうしてユリウスなのか。ララは絶句したまま口さえ動かすことができなかった。

「舞踏会の時、ユリウスはずっとあなたを見張っていた。実はあなたに声をかけようとしていた殿方はもっと他にいたんだ。けど、あの男がすべて邪魔していた。とんだ身分をわきまえない独占欲の強い騎士様だな」

 ガイルはララにあてがっていたナイフに真っ赤な舌を這わせ、ほんのりララの体温が移ったナイフをペロリと舐めた。
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