過保護な騎士団長の絶対愛
「待てっ!」
闇雲に走って体力を消耗するのは得策ではない。
どこかで息を潜められるような場所があればいいのだが――。
いったい、ここが城内のどの位置なのかすらわからない。城とはいえ、要塞のような堅固な建造物にシェリア王国の戦略的な思考を感じた。逃げ惑っていても行き止まりになってしまえば終わりだ。右か左かもまるで運命の分かれ道のように思えた。追っ手の足音が徐々に増えていく、ここで捕まってしまっては元も子もない。
くそ、どっちへ行けば――。
するとその時だった。
「こっちです」
顔を隠すようにフードをかぶり、黒の足元まであるローブを身にまとった女が突如ユリウスの目の前に現れた。どこの誰かもわからないような者を信じていいものかユリウスの中で一瞬の迷いが生まれた。しかし、こうして躊躇している間にも追っ手がすぐそこまで迫ってきている。
「早く!」
ユリウスは急かしたてる女にこくりと頷いて、導かれるように階段を駆け上がり、奥の部屋の中へ転がり込んだ。
「ここなら大丈夫です」
ユリウスが乱れた息を整えると、ぱさりとフードを取り去った女の素顔を見て言葉を失った。
闇雲に走って体力を消耗するのは得策ではない。
どこかで息を潜められるような場所があればいいのだが――。
いったい、ここが城内のどの位置なのかすらわからない。城とはいえ、要塞のような堅固な建造物にシェリア王国の戦略的な思考を感じた。逃げ惑っていても行き止まりになってしまえば終わりだ。右か左かもまるで運命の分かれ道のように思えた。追っ手の足音が徐々に増えていく、ここで捕まってしまっては元も子もない。
くそ、どっちへ行けば――。
するとその時だった。
「こっちです」
顔を隠すようにフードをかぶり、黒の足元まであるローブを身にまとった女が突如ユリウスの目の前に現れた。どこの誰かもわからないような者を信じていいものかユリウスの中で一瞬の迷いが生まれた。しかし、こうして躊躇している間にも追っ手がすぐそこまで迫ってきている。
「早く!」
ユリウスは急かしたてる女にこくりと頷いて、導かれるように階段を駆け上がり、奥の部屋の中へ転がり込んだ。
「ここなら大丈夫です」
ユリウスが乱れた息を整えると、ぱさりとフードを取り去った女の素顔を見て言葉を失った。