過保護な騎士団長の絶対愛
「ララ様……」

 ユリウスは剣を鞘に収めると、やっと入るような格子の隙間から腕を伸ばす。そして、力強くララの身体を引き寄せ、この上なく抱きしめた。ララもその抱擁に応えるべく、思い切り腕を伸ばして掻き抱くようにした。

 ふたりの間にある隔たりがもどかしい。ユリウスとの間にあるすべての障害を取り払いたい。枯れきった瞳からじわりと湧水のような涙がララの頬を伝った。

「あぁ、ユリウス……こんなに傷だらけになって……」

「あなたを助けるためならば、この命、惜しいとも思いません」

「なにを言っているの? 私を助けるために死んだりしたら、私……一生あなたを許さない」

 すっと互いに少し、身を離すと見つめあう。

 やっと、ユリウスに会えた――。

 しかし、ユリウスの負った怪我は次第に彼の体力を消耗していった。

「時間がありません、ガイルが気が付いて追ってくる前に、ここから脱出しなければならない。少し走れますか?」

「えぇ、大丈夫よ」

 カチャリ。

と音を立ててユリウスが施錠を解除する。重たい鉄の扉をユリウスが蹴倒して一気に押し開けると、ララの腕を取って引き寄せた。

 ララはユリウスの腕に抱かれながら先を急いだ。
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