過保護な騎士団長の絶対愛
 壁に点々と灯されている蝋燭の明かりを頼りに、ふたりは階段を転げるように駆け下りる。足早に駆けるふたりの足音だけが混ざって反響している。

「きゃっ!」

 ドレスの裾が足に絡まり、ララはもつれたまま床に転げる。

「ララ様!」

 すぐに手を貸そうとするユリウスに「大丈夫よ」と笑って見せる。そんなユリウスも、少しずつ息が上がっているのがわかる。

 何事もなかったかのようにララは立ち上がると、ユリウスはララの手を引いて用水路までの道を急いだ。
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