過保護な騎士団長の絶対愛
「ここを抜ければ城の外へ出られるはずです」
どす黒い地下水が傍らでゆっくりと流れている。行く先は真っ暗で闇に包まれていて、天井から水滴が滴り落ちる。すっと地下の冷気が肌をかすめて、ララは両腕で身体を掻き抱いた。
何が起こるかわからない不安にララがごくりと喉を鳴らすと、そんなララの肩をユリウスがそっと抱き寄せる。
「大丈夫、行きましょう」
そう言ってユリウスはララの不安を取り去るが、そんなユリウスもかなりの限界を迎えているようだった。
だいぶ走ったが、ユリウスならばすぐに呼吸は整う。しかし、今のユリウスは負傷しているせいか、まるで熱に浮かされているかのように肩を上下させていた。
「……くそ」
用水路の路肩を足早に進んで行く途中でふとその速度が滞る。ユリウスが壁に片手を付き、忌々しそうにそう呟いた。
「ユリウス、どうしたの?」
ララが怪訝にユリウスの顔を覗き込んで尋ねる。見ると、その額には大粒の汗が浮かんで今にも流れ落ちそうになっていた。
「どこか痛むの? 様子が変よ」
「大丈夫です」
尋常ではないほど、ユリウスは時折喘ぐように息継ぎをしている。そんな姿で大丈夫と言われてララはついに声を荒げた。
「大丈夫に見えないから聞いているの!」
ユリウスはもう誤魔化しきれない乱れた息を口から漏らした。ララが閉じ込められている地下室まで行くのに何人の兵士と出会い剣を振るっただろう。さすがのユリウスも複数で攻められては無傷でいられるわけがなかった。
「先を急ぎましょう」
ぐっと行く先を睨むように見据えて、ユリウスがララの手を取った。
どす黒い地下水が傍らでゆっくりと流れている。行く先は真っ暗で闇に包まれていて、天井から水滴が滴り落ちる。すっと地下の冷気が肌をかすめて、ララは両腕で身体を掻き抱いた。
何が起こるかわからない不安にララがごくりと喉を鳴らすと、そんなララの肩をユリウスがそっと抱き寄せる。
「大丈夫、行きましょう」
そう言ってユリウスはララの不安を取り去るが、そんなユリウスもかなりの限界を迎えているようだった。
だいぶ走ったが、ユリウスならばすぐに呼吸は整う。しかし、今のユリウスは負傷しているせいか、まるで熱に浮かされているかのように肩を上下させていた。
「……くそ」
用水路の路肩を足早に進んで行く途中でふとその速度が滞る。ユリウスが壁に片手を付き、忌々しそうにそう呟いた。
「ユリウス、どうしたの?」
ララが怪訝にユリウスの顔を覗き込んで尋ねる。見ると、その額には大粒の汗が浮かんで今にも流れ落ちそうになっていた。
「どこか痛むの? 様子が変よ」
「大丈夫です」
尋常ではないほど、ユリウスは時折喘ぐように息継ぎをしている。そんな姿で大丈夫と言われてララはついに声を荒げた。
「大丈夫に見えないから聞いているの!」
ユリウスはもう誤魔化しきれない乱れた息を口から漏らした。ララが閉じ込められている地下室まで行くのに何人の兵士と出会い剣を振るっただろう。さすがのユリウスも複数で攻められては無傷でいられるわけがなかった。
「先を急ぎましょう」
ぐっと行く先を睨むように見据えて、ユリウスがララの手を取った。