過保護な騎士団長の絶対愛
 すると、ララの背後からぞろぞろと見覚えのある兵士が現れる。コルビスの軍であり、ユリウスの部下たちだ。

「ガイル、ユリウス、剣を収めよ」

 その声とともに最後に姿を見せたのはコルビス国王、モリスだった。

「父上!? どうしてここに?」

「ララよ、無事のようだな。ユリウスはひとりでシェリアに向かうと言っていたが、必ず応戦が必要になると思ってな。それに、ユリウスに万が一のことがあれば、お前が悲しむだろう?」

 娘に甘い父、と少しの照れもあってかモリスが小さくコホンと咳払いした。

「ユリウス様! ご無事ですか!」

 見ただけで深手の傷を負っているとわかるユリウスに、部下の兵士たちが駆け寄る。

「俺はいい、早くあの男を捕えろ」

 凛としたユリウスの命令が下ると、数人の兵士たちがガイルを取り囲み拘束した。

「は、離せ! なんだ貴様ら!」

 兵士によって無理やり立ち上がらせられ、ガイルは身をよじってもがく。

「ユリウス!」

 ララが飛び出すようにユリウスの元へ駆け寄ってその身体にしがみついた。

「ララ様、よかった、無事で……お怪我はありませんか?」

「怪我をしているのはあなたの方でしょう? 早く、手当しなければ」

「あぁ、その前に……」

 ユリウスがララの身体を覆うように抱きしめる。モリス王の前だということも忘れてユリウスとララは互いに抱擁を交わす。

王女を守り切った聖騎士ともいえる自分たちの団長の栄誉に兵士たちは感嘆の声を漏らした。
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