過保護な騎士団長の絶対愛
「ララ様、ララ様のおかげで我を失わずに済みました」

「ユリウス……」

 ララは顔をあげてユリウスの無事をもう一度確かめると、その胸に顔をうずめて泣きじゃくった。

「くそ! くそ!」

 兵士に引きずられるように連行されるガイルをユリウスは横目に見る。すると、ガイルが兵士を振り切り、素早い動きで懐に手を突っ込む不穏な動きがちらりと見えた。

 まさか――!

「俺が黙って捕まると思うなよ! ユリウス! 貴様の弱みはこの女だろ!」

「ララ様!!」

 夜闇を劈くような銃声が響いて、あたりが凍りつくように時が止まる。

「ユ、ユリ……」

 ララのすぐ目の前にユリウスの大きな背中が立ちはだかっている。白銀の髪が風に靡いていると思ったが、ユリウス自身がぐらりと揺れていたのだとわかった。不安定な動きで揺らめくと、その身体がドスッと大きな音を立てて地面に崩れ落ちた。

「ぐっ……あッ」

 苦痛に歪んだ呻き声がユリウスの口から洩れる。

「あっはは! ざまあみろ! 俺を舐めるなよ!」

 異様なほどまでに白目を真っ赤に血走らせながら、ガイルが狂ったように高笑いする。手にしている銃の銃口からは硝煙が揺らめいていた。
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